嵐の中、10年の船出

1月初めに母がデイサービスから老人ホームに移った。

 母は今年91になる。

 

老人ホームはやはり色々サービスは充実しているようで、これまでにはできなかったことだが、ビデオ通話で外部との交信ができると、弟から聞いた。

 

ただし、通話するにはラインに加入している必要があるという。

ラインは全く使っていなかったし、たいして興味もなかったが、仕方なく登録した。

 

先日初めてビデオ通話を予約し、ほぼ1年ぶりにwifeと2人で母と会話することになった。

 

小さな画面を通じてではあったが、ますます年を取ったような気がした。

 

もともと両親との会話が苦手な僕は、画面に母が現れた後、言葉に困って、ちょうど昼過ぎの時間だったこともあり、

今日の昼は何を食べたの?

と適当なことを口にした。

 

「そんなどうでもいいこと話す必要ない」

 と母がきっぱり言った。

 

限られた時間の限られた会話で「どうでもいいこと」を口にした自分が恥ずかしくなった。。

傍でそのやり取りを聞いていたwifeが、もっと話すこと色々あるんじゃないのと、先日のMちゃんとの出来事を話し出した。

それにつられて色々話が弾み、結局3人でゆっくり30分以上は話したように思う。

 

年明け早々にまたまた手首を骨折し、そのために老人ホームへの移動を遅らせるなど満身創痍の状態ではあったが、母は元気そうだった。

 

 ビデオ通話を切った後、wifeは何度も母の最初の言葉を繰り返し、楽しそうに、お母さんは全く大丈夫ね、といった。

 

 

その時母にも話した2つ目の仕事がいよいよ4月から始まる。

 

母のために入ったラインは、この新しい仕事のことを高校時代からの友人2人に相談する窓口として大いに役立った。

 

今日自分がやるべきことはすべて終えた。

あとは手続きを待つばかりである。

 

嵐の中の船出でしかないが、強い決意で決めたことなので、たとえ沈んでも本望だ。

 

今のところ3年しかめどは立っていないが、10年、何とかやり切りたいと思う。