山田太一が亡くなった。
山田太一はTVドラマの脚本家として最も好きだった人だった。
いわゆる流行脚本家になった後は、セリフに癖があるなど、批判されることも多かったが、その作品には圧倒的な魅力があった。
僕が山田太一の作品を好んで見ていたのは多分大学生のころだったと思うが、
なかでも「男たちの旅路」は大好きな番組だった。
毎回毎回違うテーマが扱われ、そこで展開される作品は多くのTVドラマの中でも群を抜いていたと思う。
訃報で「車輪の一歩」や、「シルバーシート」などの代表作が紹介されると、作品を思い出して、不覚にも涙が止まらなくなった。
「男たちの旅路」のなかでの鶴田浩二の存在感は決定的だったが、この作品に登場する多くのわき役の中でも、作品を支えていたもう一人の大きな存在は水谷豊だったと、今にして思う。
「車輪の一歩」が水谷豊がこの作品を降りた後だったというのは、久しぶりの作品の紹介で改めて気づいたけれど。。
「車輪の一歩」という車いすの人達を描いた作品が如何にして生まれ、当時の状況にどれだけの影響力を持ったかも亡くなってから気づかされた。
今年早々大江健三郎が無くなり、自分の青年時代に多くのエネルギーを注いでその作品を見続けた、読み続けた人たちが今年相次いで亡くなった。
最近、久しぶりに大江健三郎の追悼文集を書店で手にして、長らく封印していた読書を再開し、自分の青年時代にとって大江がどんな存在だったかを改めて考え直したいと思い始めていたところだった。
「男たちの旅路」をもう一度最初から最後まで見てみたいと思う。
もうこの人の新作は二度と目にすることはできないのだけれど。。